「頑張ってね」「頑張ったね」と「頑張っているね」

教育にコーチングを活かす
教育にコーチングを活かす

コーチングを学ぶと、自分自身の言葉が相手にどう伝わっているのか、より意識が向くようになります。

自分にも相手にも言ってしまうことの多い「頑張る」という言葉も、ちょっとした言い回しで全然伝わり方が変わってくる・・・

今日はそんなお話。

気になっていた「生徒」

こんにちは。
教職員TCS認定コーチの山下イクミです。

先日、学校に向かうバスの中で、ある生徒に会いました。

 
その生徒は、学校に来ることに少しずつ慣れている時期の生徒で、実はこの時も、遅刻しての登校でした。
 
少し席は離れていたものの、私も授業を受け持っていて気になっていた生徒で、あ!声をかけたい!と思いました。

 
とはいえ、声をかけられるとしたら、バスを降りるほんの一瞬。そして一瞬の言葉の威力は、時にはゆっくり話しをする時以上に深く相手に残るもの。

 

どんな一言をかけよう?

 

この日も、バスが学校前に着くまで、頭の中で「この気持ちを伝えるなら、この言い方がいいかな?うーん、違うかな?こっちの方がいいかな?」と考えていました。

伝えたかった「メッセージ」

そんなこんなをしているうちに、あっと言う間にバスは学校に到着。バスを降りるタイミングで生徒に声をかけました。

 
一言、二言、会話を重ね、「今日も頑張ってね〜」という言葉で見送りました。

 

生徒は笑顔で立ち去っていきましたが。

 

実はこの時、私の中ではものすごいモヤモヤが生まれていました。

私が伝えたかったのは、「今日学校に来たこと」「来ようと思った気持ち」「時間はかかっても行動にうつせたこと」に「私は気がついているよ」というメッセージ。

 

「声をかけた」ということだけで、伝えられた部分もあるけれど・・・

 

なんだか、最後の一言で、それまでの会話をすべて無駄にしてしまったような気がしたんです。

 

モヤモヤ、モヤモヤ・・・

 

結局その日は、1日中そのモヤモヤと過ごすことになりました。

 

「頑張ってね」が伝えたこと

「いつも頑張っていること、見ているよ。その気持ちを、今日も応援しているよ。でも無理はしないで自分を大切にね。」
 

そのメッセージが伝わるためには、もっとより良い伝え方があった気がする。

 

事実、「頑張ってね」という言葉は、応援の言葉として背中を押してくれる言葉にもなれば

ときに、裏メッセージとして「もっと頑張れるよ」「今は頑張りきれていない」と(こちらが思っているにしても、いないにしても)感じる言葉にもなり得ます。

 

それなら、頑張った過程を承認する伝え方が良かったのかな?

「頑張ったね」とか?

うーん、でもそれ、上から目線に感じるなぁ…

こちらの要求に合わさせている感じで伝わりそう。

そもそも「いや、あなたには分からないでしょ」って、私なら感じるかもなぁ…

 

モヤモヤ、ぐるぐる、、、

モヤモヤ、ぐるぐる、、、

モヤモヤ、ぐるぐる、、、

 

結局、その日は学校にいる間も、1日中ぐるぐるして・・・

1日の終わり、校門を出るときに。

やっと、ふっと、ある言葉が降りててきました。

 

「頑張ってるね」

 

この言葉が正解かは分かりませんが、すっと心のに落ちてきた感覚がありました。

伝わったことが、伝えたこと

「頑張ってね」

「頑張ったね」

「頑張ってるね」

 

あらためて並べてみるといかがでしょうか。

 

例えば・・・

・この言葉で思い浮かぶシーンは?

・そこにいる人たちは、その言葉の前までにどんな物語があった?

・相手に見せている表情と、心の中で見せている表情は?

 

似ているようだけど、伝えるメッセージはまったく違うかもしれない。

 

「伝わったことが、伝えたこと」

 

これからもこの感覚を大切に、生徒と関わっていきたいと感じたできごとでした。

TCS認定コーチ 山下イクミ

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