「キャリア教育」の根っこを育む

教育にコーチングを活かす
教育にコーチングを活かす

昨年度、勤務校である高校で「総合的な学習の時間」にて、キャリアデザインの授業を担当させていただきました。

そこで感じたのは、キャリアについて考える前に、とても大切なステップがあるということでした。

主体的に人生をえがく「キャリア教育」

こんにちは。

教職員TCS認定コーチの山下イクミです。

 

昨今「キャリア教育」がとても重要視されるようになりました。

ちょうど我が家も、今、学校説明会に足を運ぶことが多い時期なのですが、「キャリア教育」を学校生活でのひとつの大切な軸としてお話される学校様が多いという印象を受けています。

 

昨年度勤務していた私立中高一貫校でも、中学から高校まで継続した「キャリア教育」のプログラムが組まれていました。

 

私もその学校の「総合的な学習の時間」にて、1年間キャリアデザインの授業(少人数制の選択授業)を担当させていただいていたのですが、そこで、ひとつの大きな気づきがありました。

 

それが「キャリア教育」をしていくためには、大切な土台となるステップが必要である。ということです。

 

「キャリア教育」と生徒の本音

年度当初は、「自分軸で自分らしいキャリアを見つけていく」ということを目指して組み立てた授業。

 

しかし、実際に授業をしていく中で、生徒が変わり、最後に生徒がアンケートや実際に感想として伝えてくれたのは『将来について考えてみたくなりました』ということ。

 

「今までは、将来について考えることが苦痛だった」

「はじめて、将来について考えてみたい気持ちになった」

「これから、自分の未来について考えてみたい」

 

この声を聞いて、本当に「はっ」とさせられました。

彼らは高校生になるまでに、きっと「キャリア教育」や「進路指導」を受けてきている。けれども、もしかしてそこには「考えたい」という気持ちがなかったのかもしれない・・・

メッセージからは、そんな気持ちが受け取れました。

 

もしかしたら、彼らにとって将来について考えることは、「やらないといけないこと」「考えないといけないこと」だったのかもしれない。

そう考えると、胸がぎゅっと苦しくなります。

 

「考えたい」気持ちが育つために

では、「考えたい」と思うには、どんな「準備」が必要なのでしょうか。

キャリアコーチングの授業では、何からそのような気持ちが生まれたのでしょうか。

 

実際にキャリアコーチングの授業を体験していただきたいところではありますが、いくつか例をあげると

 

参加している生徒同士の対話や問いから

・視野を広げ、自分自身を多角的に見る

・0か100かのジャッジ思考から抜け出す

・過去の自分の選択をもう一度大切に見つめてみる

・無意識に自分が大切にしてきた価値観を見出す

私は「教える」ことは一切せず、コーチとして生徒の斜め後ろに立ち、一緒に景色を眺める。

それを丁寧に繰り返す。

 

「考えたい」と思えるようになった背景には、きっとそんな積み重ねや、「コーチ的関わり」から生まれる空気感(安心空間)という土台があったように感じています。

 

「無理だから」

「ダメだから」

「○○って言われたから」

 

そんな言葉を発していた生徒たちが、仲間と対話する中で、「「自分」という存在を受入れられてもらっている」と感じ、「自分が自分自身を受入れられる」状態になっていく。

キャリアコーチングの授業には、そんな力があったのだと感じています。

 

これからの「キャリア教育」のために

これからは、「職業・企業」ではなく「生き方」からキャリアをデザインしていく時代になっていると言われています。

そして自分軸で主体的に自分のキャリアをデザインしていくためには、将来を「自分ごと」として捉えて、自分の内側から「考えてみたい」と思える心の土台を整えていく必要があります。

 

逆に、その土台さえしっかりしていれば、きっと子どもたちは、自分たちの力で、将来の「仕事」を見つけていける・・・

 

だから、職業を知る、職業に興味をもつ、社会を知る、世界を知る・・・その「キャリア教育」のステップ0として、「将来を考えたくなる」授業をこれからも届けていきたいと思うのです。

TCS認定コーチ 山下イクミ

 

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